可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
アイリスは一瞬、こちらを見つめる彼の金色の目が潤いを増して、妙に色っぽいというか、獣姿相手にどきどきしてしまった。
◇∞◇∞◇
十月も後半に入った。アイリスは書斎で手紙を振り分けていた。
「討伐の感謝状はこっちで……」
その時、ノックの音がしてヴァンレックの声が聞こえた。彼の書斎なので変な感じがしながらも、まさかと予感しつつ、どうぞと答える。
「お疲れ様です。おかえりなさいませ」
「ああ、今戻った」
扉を開けたヴァンレックは、鼻先が少し赤かった。そして歩み寄ってくる彼の右手には、細い手製の花束が握られている。
「冬の下でもたくましく生きるこの地の花だ」
どうぞ、というように、彼がずいっと差し出してきた。
アイリスは、しばし呆気に取られた。
(……今日も?)
固まっていると、彼の表情が少し不安そうに変化していく。
「気に入らなかっただろうか――」
「と、とても気に入りました! 可愛い赤いお花ですねっ」
アイリスは立ち上がり、光の速さで花束を受け取った。
「わざわざ大地のお花を探してくれたんですね。えぇと、雪をかき分ける手も冷たかったんじゃ――」
「大人の獣人族は少しの間なら平気だ」
とは言うものの、アイリスは彼の鼻先が赤いのが気になった。
◇∞◇∞◇
十月も後半に入った。アイリスは書斎で手紙を振り分けていた。
「討伐の感謝状はこっちで……」
その時、ノックの音がしてヴァンレックの声が聞こえた。彼の書斎なので変な感じがしながらも、まさかと予感しつつ、どうぞと答える。
「お疲れ様です。おかえりなさいませ」
「ああ、今戻った」
扉を開けたヴァンレックは、鼻先が少し赤かった。そして歩み寄ってくる彼の右手には、細い手製の花束が握られている。
「冬の下でもたくましく生きるこの地の花だ」
どうぞ、というように、彼がずいっと差し出してきた。
アイリスは、しばし呆気に取られた。
(……今日も?)
固まっていると、彼の表情が少し不安そうに変化していく。
「気に入らなかっただろうか――」
「と、とても気に入りました! 可愛い赤いお花ですねっ」
アイリスは立ち上がり、光の速さで花束を受け取った。
「わざわざ大地のお花を探してくれたんですね。えぇと、雪をかき分ける手も冷たかったんじゃ――」
「大人の獣人族は少しの間なら平気だ」
とは言うものの、アイリスは彼の鼻先が赤いのが気になった。