可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 手紙の仕分けが終わったあと、花をダイニングルームの入り口に飾ることにした。

(屋内が華やかになるからかしら)

 花瓶にいけた花を見て考える。

 毎日軍服姿だが、ヴァンレックは王族だ。

 食事の作法も、女性の気遣いも完璧に習得しているのは感じる。

 確かに、花があると場の雰囲気は明るくなった。私室にはすでに先日の花束分があるので、アリムの部屋、サロン――などにも飾っているところだ。

「花なら庭園にもあるんだけど……」

 毎日、庭師が雪を払っていた。この地では冬にも花が見られるというのは、その時に知ったことである。

 するとダンニングルームから出てきたメイドが見てくる。

「まぁ奥様、必要でしたらお声を掛けてくださったらよろしかったですのに」
「いいのよ。私がもらったものだし、自分でやりたとも感じて」

 途端にメイドの口元が緩んだ。必死にこらえているようだが、普段のすました様子を取り繕えていない。

「……なあに? 言いたいことがあるのなら、言っていいのよ」
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