可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(と、とにかく行きましょうっ)

 アイリスは二階から下りることにした。

 走り出している間にも、訓練場から悲鳴が聞こえてくる。

「復活したぞー! いきなりなんだ? って、団長!? ぐぇっ」

 またしてもシーマスが倒れる声も響いてくる。

 なんて丈夫な人たちだろう。

 ほっとしたものの、騒ぎはどんどん大きくなって、アイリスはとにかくドレスの裾を持ち上げて必死に走った。

 降りてみると訓練場前の段差に、ブロンズが立っている。

「ブロンズ……? 一緒に来たの?」
「いいえ。旦那様が玄関ホールから走り出したと報告を受け、こうなると見越して、わたくしも走りました。そして、こちらをお預かりしたのです」

 ブロンズが、ケーキ箱を見せる。

 それはヴァンレックが持っていたものだ。

「暴れられた際に、少し振っておられたので気になりましたが、ご安心ください、中身は無事です」
「あ、そうなの……じゃなくてっ」

 別にケーキの心配はしていなかった。

「どうしてヴァンレック様を止めないのっ」
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