可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(誰かに聞いたわけではなくて五感で探し当ててるってこと……?)

 獣人族ってすごいな、と思う。いや、そんなことよりヴァンレックだ。アイリスはスカートを再び持ち上げ、場内に駆け込む。

「ヴァンレック様っ、離して差し上げて」

 瞬間、ヴァンレックがそのまま握っていた手を開いた。

「あ」

 アイリスと、場にいた全員の騎士たち声が重なった。

 シーマスたちが見事にどしゃりと落ちる。

「アイリス、ただいたま」

 ヴァンレックがにこやかに挨拶してきた。

「お、おかえりなさい……?」

 アイリスは彼に解放されて沈んだシーマスたちの様子が気になったものの、にこやかなヴァンレックの様子も大変きになった。本当に、先程まで暴走していた人とは思えない。

「俺が向かおう」
「わ、分かりました」

 待っていてと仕草で伝えて駆け寄ってきたので、アイリスはその場であとを止めてヴァンレックを待つことにする。

 その間に、と思って近くで座った騎士たちと、向こうにいるシーマスたちに声をかけた。
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