可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「みんな、ごめんなさいね。私も何がなんだか……」
「あ、いいんですお気になさらず」
「獣人族は、みんなそういう時期があるんで」

 なぜかシーマスたちが、揃ってにんまりとした表情を返してくる。

(何かしら、すごく気になるけれど)

 そういう時期、とはいったいなんだろう。

 アイリスがそう思っている間にヴァンレックがやってきた。彼はアイリスの手を取り、段差上の通路へと戻す。

 彼が手を向けると、ブロンズがケーキ箱をヴァンレックに渡した。

「アイリスが好きそうだなと思って買ってみた。三人で一緒に食べよう」
「あ、ありがとうございます……」
「今、中身を見てもいいぞ」

 ヴァンレックはわくわくした様子だ。

(見てほしいみたい)

 そんな彼の珍しい反応に意識を持っていかれるのを感じながら、ケーキ箱の中を覗かせてもらう。

 そこには、色とりどりのミニケーキが入っていた。隣のケーキとぶつかってしまわないよう、丁寧な仕切りも入れてある。

「まぁ。とても可愛いですね」

 つい、和んでアイリスは微笑んだ。
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