可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「アリムが食べる姿はとても可愛いでしょうね」
「ああ、可愛い」

 ヴァンレックは、まっすぐアイリスを見ていた。そのせいか、彼の息子の話しをしていたはずなのに、彼が口にした『可愛い』が自分に向けられた感想のような錯覚を受け、アイリスは心臓がどっとはねる。

「アイリスはこういうものも好きなんだな。承知した」
「え? 承知したとは?」
「次からは、小さいサイズも選んでこよう」

 彼はブロンズを呼ぶとケーキ箱のふたを閉めるように指示し、アリムがお昼寝から目覚めているか、見に行こうとアイリスを誘った。

 彼の起床に関してはすぐ知らせるように伝えてある。まだ寝ている可能性もあるけれど、それを言えず、アイリスは頬が赤くなるのを感じて、少し顔を伏せてヴァンレックのあとに続く。

(こんなことされたら、気になってくるじゃないの)

 彼には大公妃に迎えられない愛した女性がいる。

 アリムという、心から可愛がっている息子だっているのだ。

(ただの親切。そう思うことにしましょう)
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