可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 昨日あったダンスの授業も楽しく終われたし、赤面の度合も――少しは減っていると思う。

「そんなことないわよ」
「あるよ」

 今日のアリムは、なんだか意地を張って子供っぽい。

 何やらご機嫌斜めなので、アイリスはアリムを抱っこしてあげた。いつもはヴァンレックじゃないと恥ずかしがるのに、アリムは自分からも抱き締めてきてくれる。

「僕だって……アイリスのためになりたいんだもん……」

 ――可愛い!

 耳元でごにょごにょと聞こえた不満げな声に、アイリスは胸がきゅぅんっとした。すねているアリムにらは悪いが、めちゃくちゃ可愛い。

「いつもアリムには幸せをもらっているわ! 大好きよ!」

 愛情を込めて力いっぱい抱き締めた。

 するりと口から出た言葉。

(ああ、この子が、可愛く感じて仕方ないわ)

 不思議な力を使ったのもとくに気にならないのは、そんなことより自分には、アリムという子供のことが大切だからだ。

「うん――僕もアイリスのこと、大好き」

 最後は笑顔で和解できた。見守っていたブロンズとメイドたちがほっとして、そして嬉しそうに微笑んでいた。
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