可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 ――だというのに午後、またしても機嫌を損ねてしまったようだ。

 昼食を食べてしばらくすると、お昼寝をするのがアリムのいつもの日課だ。

 最近は自分のメイドを信頼してくれているから、アイリスの日程によっては、目覚め次第に連れてきてくれる運びになっている。

 だが、目覚めたアリムは行くのを拒否したらしい。

『僕だって何か考えるっ。パパだけ、ずるいっ。パパが帰ってくる前までには何か考えておくんだっ』

 彼は悔し涙を浮かべていたそうだ。そう力強く宣言されたメイドは、久しぶりに部屋を追い出されたという。

 それをアイリスは、書斎で報告を受けた。

「時間がないので集中して考えたいそうです」
「図鑑をいくつか所望され、運びました」
「……読書時間にするつもりかしらね?」

 アリムはこの国のことに関する、あゆる図鑑を見るのも好きだった。

 子供一人ではとうてい持つことができない分厚いものだ。

 書かれている説明文は、彼には難しすぎる。内容も難解だ。きっと目当ては挿絵だろう。上機嫌にどんどんめくって眺めていくのを、アイリスは何度かそばで眺めて過ごしていた。
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