可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「まったくっ、君は意外と無茶もするようだっ」
「ヴァンレック様!」

 彼がぐっと眉を寄せる。

 それを見て、アイリスは間髪を入れず叫んだ。

「嫌ですっ!」
「何がだ?」
「私も探します! あとは騎士たちに任せて、なんて、絶対に嫌!」

 声を張り上げた直後、視界が滲む。

「ご、ごめんなさい。わ、私が、ずっとそばにいなかったから」
「アイリス」

 不意に引き寄せられ、ぼふっと彼の胸に抱かれた。

 外気の寒さが一気に消えたような感覚がした。緊張で強張っていた身体が、湯につかったみたいにほぐれていくのを感じる。

 それは、――相手がヴァンレックだからだ。

 不意に気付いて、アイリスは言葉を失う。

「俺は君に、建物から離れるなとも、屋内で待っていろとも言わない」
「えっ」
「今の君を見ていれば、そんなことできないとも分かっている。アリムが大事なんだな。ありがとう」
「そ、そうです、大事だから、私も一緒がいいです……」

 あっさり分かってくれるとは思っていなかったから、ますます動揺した。
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