可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「え、ええぇー!」

 騎士たちが揃って驚きの声を上げる。

「アイリス、行こう。俺の背に乗って」

 狼が頭を下げて視線をアイリスに合わせ、背の位置も低くした。

「だ、大丈夫なんですか?」

 騎士たちの反応から気軽に変身しないことは見て取れた。戦場と違い、今はアリムのことで精神的にも揺らいでいる。暴走してしまったら?

「君がそばにいてくれれば、問題はないから」

 アイリスは頭に疑問符をたくさん浮かべた。

 シーマスがハッと口を押さえた。騎士たちの反応も様々だが、屋敷側の方向から目撃している者たちもみんな、感動でもしているみたいだ。

(よくは分からないけれど)

 あの満月の夜と同じというのなら、彼を信じよう。

 アイリスは金色の毛並みをむんずと掴み、巨大な狼の姿になったヴァンレックの背に飛び乗る。

「痛くなかったですか? 大丈夫?」
「問題ない」

 答えながらヴァンレックが身を起こした。

 ずいぶん高さがあって、アイリスは緊張して両手で彼の毛並みを遠慮なく握った。
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