可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「心配させて泣かせちゃうなんて……予想以上に見つけるのに苦労したんだ」
「植物なら温室にもたくさんあるだろう」
「野花に分類されるから、ないんだ。王都ではどの邸宅にもはえてきちゃうサリーヌって雑草があって、真冬以外はずっと成長し続けて、花も見られるんだって」

 サリーヌは蔦科の植物だ。野に広がると小さな白い菊の花畑になるし、目を離している隙に蔦を伸ばして、気付いたら建物の下側で花を咲かせている。

 部屋に閉じこもっているアイリスが、一番見てきた花かもしれない。

(あ。もしかして)

 ハタと察して、アイリスは尻尾を両手で降ろして、アリムを見た。

「アイリス、僕も君のために何かしたかったんだ」

 目が合った途端にアリムが言ってきた。じっと見つめてくるアリムのアイスブルーの目は、いつもより大人びて見えた。

 君、なんて言われたからかもしれない。

 彼の瞳は潤っているのに、泣きそうではなくて、ただただまっすぐ向き合ってくれていることをアイリスは強く感じた。
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