可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 乙女心は、数日経っても悩ましい問答を繰り返している。

 その時、銀色の眩い光が視界に入り込む。アイリスは驚いて視線を上げ「あ」と口の形を作った。

「……えっ、何!?」

 アリムが銀色の光を放っていた。

 以前見た、彼自身が起こしていた黄金色の粒子の光とは違う。

 それは先日見たヴァンレックの起こした光と同じだ。違っているのは、アリムの銀髪の一本ずつまで神秘的に発光していて、柔らかな輝きであることだった。

「あ、もしかして」

 自分の小さな手を見下ろしたアリムが、そう口にした瞬間だった。

 強い銀色の光が彼の姿を遮ってしまった。

 雪景色の中ではないせいだろうか。あまりにも目に眩しく感じて、アイリスは腕で目をかばう。

「アリムっ」

 思わず叫んだら、ヴァンレックの声が聞こえた。

「大丈夫だ! これは――」

 光がみるみるうちに弱まっていく。

 アイリスが不思議に思って腕を降ろすと、アリムが立っていた場所には、子供服が重なって落ちていた。

 そしてその上に、ぱたぱたと小さな翼を動かしている、銀色の子犬が浮いている。
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