可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「僕、獣化できたよ! 成長できた!」

 飛んでくる銀色の小さな子犬、いや仔狼が可愛すぎた。

 しかもヴァンレックが狼になった時と違って、表情もかなり豊かである。

(もみくちゃに抱き締めたいわ! ――ハッ)

 アリムは、獣化が心から嬉しいのだ。

 そこはヴァンレックと違っていることに、アイリスは気付いた。

 国や王家にとって【獣化】持ちの子が生まれるのは、とても嬉しいこと。でも、本人は葛藤を覚えるような苦労もあるはず。

(ヴァンレック様は……自分のような幼少期を、アリムに過ごしてほしくなかったのね。だからすぐ兄に報告しなかった? 社交界のお披露目もしていない?)

 それもすべて、アリムの心を守りたい父親としての願いがあってのことなのではないだろうか。

(よかったわねアリム。あなたには、パパがいる)

 アイリスは心から思った。そこもまたヴァンレックと違う。

 ヴァンレックは、一緒に乗り越えようと考えてくれているに違ない。自分も完全に狼の姿になれるから、アリムは満月の日に一人で過ごさなくて済む。
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