可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 お飾りの妻には共有できないことかと感じて、少しだけ寂しくなったものだ。

 いったんまた二人とは別れ、そして例の初外出の待ち合わせ時間を迎えわけだが――。

「数分遅れるなんてパパさいてー!」
「いたたっ、アリムやめなさいっ」

 気になって上の空で待っていたアイリスは、ふっと聞こえてきた騒がしさに我に返った。

 見てみると、ヴァンレックはアリムを脇に抱えて走っている。

(なんて雑な運び方……)

 アリムのほうは、小さな拳でぽかぽかと彼の腹を殴っていた。

(一緒にいられて嬉しいはずのパパに向かって?)

 というか、いったいどういう状況なのだろう。

「アイリスと過ごす時間が減っちゃったー!」
「くっ、俺だってそうしたかったのにっ」
「パパ仕事ありすぎ!」
「そういうアリムは、もう少し普通の狼に見えるように変身の精度を上げてだな――」

 何やら、父と子が言い争っている。

「アイリスすまない待たせてしまったっ」
「会いたかったよぉアイリスうううううぅー!」

 迫ってきた二人が、同時に言い合いをやめてアイリスにそう言ってきた。
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