可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(まぁ、さすが父子ね。息がぴったりだわ)

 アイリスは声に出さないよう、自分の口に手を添える。

 でも――どちらもアイリスと会いたかったのはよく分かった。授業を知れない疎外感も、単純なくらい自分の中から消えていくのを感じた。

「ふふ、私も会いたかったです。二人とも、お疲れ様」

 嬉しくて心からそう声を掛けたら、なぜかヴァンレックが急に照れ臭くなったみたいに視線を逃がした。

 アリムも彼の脇腹に抱えられた状況を忘れたみたいだ。

「嬉しいなぁ。お疲れ様って言われるのも、結構いいかも」

 彼は丸いほっぺに両手をあてて「えへへ」と笑っていた。

 馬車に乗って町まで行った。

 雪はやんでいて、晴れた雪景色は日差しの反射で一層明るく見えた。

「あれって大公妃様じゃないか……?」

 下車すると人々の視線が集まった。

 これが領地の人たちへの初めてのお披露目になるから仕方がない。

 そう覚悟していたものの、きつかった。

(大公邸でどれだけ心地よく過ごさせてもらっていたか、よく分かるわ)

 アリムが自分の噂でも聞いたらどうしようか、とアイリスは心配する。
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