可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「勝手、とは?」
「着て早々なのにアリムを追いかけたこととか……おやつとか……」

 これだけ大切にしているのなら、当初浮かんだ推測通り、大公側は対面のタイミングだって慎重になって時間を決めていたことだろう。

「奥様のようなお方は初めてです。何も問題はありませんよ」

 ブロンズは、意外だというような間を置いてそう言ってきた。

「坊ちゃまを連れ出してくださっただけでも、有難いと思っているほどです。旦那様がいないと姿を見せようともしませんから」
「えっ、じゃあおやつは……」

 もしかしてと思って小声で急ぎ確認すると、ブロンズが『お察しの通り』と伝えるように首を小さく振る。

「本日のおやつが無駄にならずに済みました。坊ちゃまに付けられている担当のメイドたちも、喜んでいます」

 担当のメイドはいちおういたようだ。

(まだ慣れないのは、アリムのほうが距離を置いているせいかしら? それとも大公様のご子息だから、接し方がつかめていないとか……)
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