可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 どちらの可能性もあるような気がした。ひとまず、いい機会だ。

「ブロンズ、メイドを呼んでちょうだい。アリムいいかしら? チェスをするためにも手を綺麗にしなくちゃね」
「うん! 綺麗にする!」

 アリムの元気がいい返事にブロンズが驚いていた。彼はアイリスが目配せすると、ハッとしてベルに向かい、それを鳴らす。

 待機していたのかすぐに三人のメイドが入室してきた。

「奥様にご挨拶申し上げます」

 彼女たちは丁寧に自己紹介すると、アリムの世話に入ってくれた。見ていてもぎこちなさはない。

 そのうちの一人は、アイリスの両手を担当した。

(急な結婚だったから心配していたけれど……)

 彼女の仕事もまた丁寧だった。ないがしろにしている気配は感じない。

 ただ、三人ともアイリスをさりげなく観察している様子が垣間見られて、アイリスはそれが気になった。

 少し話しが聞きたくなったが、ハタと時間を思い出す。

「ねぇアリム、パパはそろそろ帰ってきそうかしら?」
「あっ」

 待っていたことをしばし忘れていたらしい。寂しさを紛らわせることには成功だ。
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