可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
アイリスが聞いている噂は、彼女と出会う以前のヴァンレックのことが多いのか。
むすっとしてしまった。
ハタと自覚したアイリスは、そんな自分に反省しながら立ち上がる。
書斎机に追加の書類を置いた。
その際、書類の束が左側に少し滑ってずれた。冊子の間に手紙も挟まれているせいだと気付く。束になった手紙を回収して結び紐をほどいたところで、思わず久しぶりに覚えた険悪な声が口からこぼれ落ちた。
「――は?」
滑りがいい手紙の封筒が左右に滑った時、覚えがある家名が目に留まった。
【エティックローズ】
まさかと思ってそれを取り出してみると、招待状だった。送り主は、母だ。
(こういう時までこの人たちは)
どこまで人をバカにすれば気か済むのだろう。
アイリスは嫁ぎ、ヴァルトクス大公妃となった。本来であれば当主のエティックローズ侯爵、つまりは父がすべきだ。
結婚して身分はアイリスのほうが上になった。しかし、敬意は驚くほどない。
(普通の貴族だったら当主の責任問題に問われるのに、父はよほど、私相手なら何をしたって問題ないと考えているわけね)
見る限り、その封筒は婚礼用だと分かる。
嫌な予感しかなかった。
むすっとしてしまった。
ハタと自覚したアイリスは、そんな自分に反省しながら立ち上がる。
書斎机に追加の書類を置いた。
その際、書類の束が左側に少し滑ってずれた。冊子の間に手紙も挟まれているせいだと気付く。束になった手紙を回収して結び紐をほどいたところで、思わず久しぶりに覚えた険悪な声が口からこぼれ落ちた。
「――は?」
滑りがいい手紙の封筒が左右に滑った時、覚えがある家名が目に留まった。
【エティックローズ】
まさかと思ってそれを取り出してみると、招待状だった。送り主は、母だ。
(こういう時までこの人たちは)
どこまで人をバカにすれば気か済むのだろう。
アイリスは嫁ぎ、ヴァルトクス大公妃となった。本来であれば当主のエティックローズ侯爵、つまりは父がすべきだ。
結婚して身分はアイリスのほうが上になった。しかし、敬意は驚くほどない。
(普通の貴族だったら当主の責任問題に問われるのに、父はよほど、私相手なら何をしたって問題ないと考えているわけね)
見る限り、その封筒は婚礼用だと分かる。
嫌な予感しかなかった。