可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 ひとまず急ぎ長椅子に腰を下ろし、封筒をペーパーナイフで開く。そこにはアイリスと、夫のヴァンレックの名前が書かれた招待状があった。

 そして普通ならありえないが、そこには普通の手紙の便箋が折り曲げられて、添えられてある。

「……何よ、これ」

 便箋を読み始めて数秒後、流し読みだけでアイリスは心が冷えた。

 妹のアンメアリーの結婚が決まったという。

 お相手は、あのライノーアル伯爵だ。

 書かれている文章からしても失礼さしかなかったのだが、手紙の内容を簡単にまとめたところで、アイリスはさらに嫌な気持ちになる。

【大公に嫁いだのだから金は腐るほどあるでしょう。育ててやった恩を忘れたわけじゃないわよね。体裁をたもつためにも、結婚祝い金は持ってきて当然だわ。あなたのたった一人の可愛い妹のことなんだから、祝い金はたっぷり持ってきて参加しなさい】

 書かれていたのは、アイリスに対する〝命令〟だった。

 そこには長女に対する結婚祝いの言葉も、元気にしているかという体裁の言葉も一切ない。
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