可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 ヴァンレックの目が優しく見つめてくる。

 まるで恋人でも眺めるかのように甘く感じて、アイリスは場違いにもときめいてしまった。

「……行くことになったのは、私のせいなのに」
「ははっ、君はそういう頑固なところもあるよな」

 彼は楽しそうだった。

「俺たちの小旅行ついでに、招待状の件は終わらせよう」

 ヴァンレックが手を差し出す。

「僕、アイリスとの遠出が楽しみだよ!」

 ひょこっとそばから銀色の獣耳、ではなくアリムが顔を出した。

「道中、一緒にたくさん面白いものを見ようね!」
「ふふっ、そうね」

 ヴァンレックとアリムと、王都に行く。そう思うと楽しみさを感じてきた。

 道中を楽しむのが目的で、妹の結婚式への参列はついでに考えればいい。行ったら、もう、家族の悩み事から完全に開放される。

 ヴァンレックが手伝ってくれるのなら、きっとそれも叶ってしまうのだろう。

 しばらく難しいことを忘れて、道中の旅を楽しもう。

「それではお願いします、ヴァンレック様」

 アイリスはにっこりと笑い、彼の手を取った。

「こちらこそ」

 彼が破顔した顔は、二十八歳より少し幼い感じに見えた。
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