可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「遠目で何度か拝見したことがあります。以前拝見した時よりいずっとお美しいですね、そのブルーのドレスもよくお似合いです」
「ありがとうございます」

 彼は、アイリスにも紳士的な態度を崩さない人だった。

「あ、申し訳ございません大公……下心はありませんから……ほら、私はいい年した男ですし……」

 途中、なんだか顔に汗を浮かべていたけれど。

 彼の妻であるリッジソロミュー公爵夫人もまた、柔らかな雰囲気を持った美しい人だった。客間へ招待してお茶が始まったのだが、ティーカップを持つ姿さえも優美という言葉が似合う。

 慎みと、同性も尊敬するレディとしての聡明さ。

 そして子と夫への愛情に溢れた素晴らしい母でもあった。

「小公子様が初めて迎えられた際、こちらで一時世話を任されていたのです」
「そうだったのですね」
「人のお心の敏感なところがあるようです。大人には最大の警戒を、子供は相手にならないと見向きもしてくれず、大変でしたわ」

 それはアイリスにとって意外な話だった。
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