可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「パパも軍服風の正装はやめようよ。こんなにいっぱいあるんだから!」

 ヴァンレックは着ても軍服仕様の服のイメージが強かったので、アイリスは屋敷の探索ツアーのついでにアリムに案内された衣装部屋に、たくさんあった夜会服や正装などに驚かされた。

(ちょっと見てみたい気もするわ)

 教えてくれたアリムに心の中で感謝しながら、尋ねてみた。

「私が選んでもいいですか? あっ、その、夫婦で出席するのでしたら揃えたいですし――」
「もちろんいい。君が選んだものを着る」

 食い気味に言われた。

 彼は嘘が吐けない人だ。アイリスとしても見てみたい衝動で言ってしまったが、さすがの彼女もヴァンレックの反応には困ってしまった。

 どう考えても、それなりに好意は抱かれていると感じる。

 けれど彼が誠実で、愛した人を大切にする男性であることは、普段のアリムへの対応でも分かっていた。

(異性に対する好意とか、そういうものではないのだから気を付けないと)

 そうだと思おうとしても、アイリスの胸は甘く高鳴り続ける。だから、自分の心に何度も言い聞かせた。
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