可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 最後は極めつけにギッと睨み上げられ、悔しがられているのだと思い至る。

 姉の結婚相手は〝大公〟だ。

 無事でいるうえ、いい身なりを見て納得がいかないらしい。

 いつもなら飛びかかるはずだが、アンメアリーは気にしたように両親を見た。かなり不服そうにアイリスを無視し、かわい子ぶった仕草でヴァンレックを見上げる。

「大公様ぁ、来てくださって嬉しいですぅ。私たちの結婚のためだけに、可愛いお子様も連れて、わざわざ王都に来てくださるなんて!」

 挨拶もしていないのに、なんて失礼な声かけだろう。

 アイリスは頭が痛くなってきた。

 そのうえ、図々しくも大公の義理妹であると周りに自慢しているのだ。

「こんなに素敵なお方だったなんて。参加いただいて、私たち、すっごく恵まれた夫婦ねっ」
「そ、そうだね、僕のアンメアリー」

 子供のことを引き合いに出したのに、アンメアリーはアリムのほうを一度も見ることがなかった。彼女に甘えるようにして同意を求められたライノーアル伯爵が、気にしたように義両親を見る。自分でどうにかしなければと察したか、アンメアリーを腕に引き寄せて言う。
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