可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「それじゃあ家族での話しは、のちの楽しみに取っておこう。あと少しで開始時刻だ」
「そうね。あ、お姉様は結婚式もなかったものね。代わりに私の結婚式、楽しんでくれると嬉しいわ」

 アンメアリーがライノーアル伯爵の腕に身を寄せ、にんまりと笑う。

 それで心に傷を与えられると思っているのだろう。

 教養のない言葉選びに、周りの貴族たちが緊張したようにヴァンレックのほうを見る。

(そういえば挙式は、しなかったわね)

 アイリスは今になって思い出した。

 高額な費用が発生していなくて、よかったと思っている一件だ。

 アイリスは、にっこりと笑いかけた。アンメアリーが信じられないものを見たように、目を見開く。

「気にしてないわ」
「……なんですって?」
「ヴァンレック様はこう見えてシャイなところがあるの。私、しばらくゆっくりしたかったし、挙式はのちのちでいいかなって。可愛いアリムとの毎日も最高だし」

 妹に対して貴族っぽく言ってやらないのが、意趣返しだ。
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