可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 小さな声でアンメアリーが強がった声を出した。

 アイリスは胸に抱いているアリムと、自分に回されているヴァンレックの腕が、同時にぴくっと反応するのを感じた。

「相変わらず雑草みたいに、いやらしい生命力ですこと」

 ああ彼女は、姉の『アイリス』がろくに食べさせてもらえなかった時も、同情することさえなかったのか。

 アイリスは察して神妙な気持ちになった。

「はぁ。先程から聞くに耐えんな」

 ヴァンレックの低い呟きが落ちた。

 そう大きく話しているわけでもないのに、アイリスは彼の声が周囲によく通るのを感じた。

 場にいる者たちが一斉に動きを止める。

「エティックローズ侯爵、二度と俺の前にこの娘を出さないでいただきたい」
「なっ」

 アンメアリーがカッと頬を赤らめる。

 両親も目を吊り上げた。

「な、なんですとっ――」
「実の妹であるにもかかわらず、我が妻に対して無礼すぎる。少しは聞ける言葉だったらまだしも、『雑草のような生命力』などという浅ましい言葉を、どのような教育をしたら覚えるんだ?」

 どこからか「ぷっ」と声が上がった。

 途端に、権力者に続くようにして貴族たちが「あれはちょっとね」「さすがにな」と囁く。
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