可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(ヴァンレック様……)

 アイリスは胸がじーんっとした。

 小馬鹿にされることが耐えがたい両親は、顔を真っ赤にしてアンメアリーを睨んだ。

「お前はっ、もう少しよくできないのか!?」

 怒鳴ったのは父だった。

「えっ、お、お父様?」
「姉がいなくなってから我が家の評判を落とすばかりだ。それに対してアイリスは賢くも、うまく付き合う方法を考えて我がエティックローズ侯爵家と、ヴァルトクス大公家を繋いで、今後も利益をもたらしてくれるというのにっ」

 はじめて父に怒鳴られた妹は、頬を打たれたみたいに絶望した顔で黙り込む。

 貴族たちが、唖然として父を眺めていた。

 いったい何を主張しているのか分からないのだろう。アイリスもそうだ。頼れると信じ切っているが、双方の上は何の取り決めもしていない。

「繋ぐ?」

 いい声で嘲笑が落ちる。

「今後の利益とは、どういうものなのか気になるな」

 ヴァンレックが鼻で笑った。

「そ、それは、我が娘を娶って、お気に召してくださったのでしょう? 我々は、そこのアイリスの両親です」
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