可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「不安は小さくなりました」
「小さく、か。それでは計画通り、徹底的にやらないとな」
「……はい?」

 気のせいか、普段温厚な人から、とんでもない言葉がさらりと出た気がする。

 挙式はあっさりと終わった。

 このあとは近くにある芸術ホールにて披露宴が開催されると、新郎のライノーアル伯爵がみんなに案内した。

(ようやく喋ったのを見た気がするわ)

 挙式の間、ライノーアル伯爵は、決められた行動を淡々とこなしていった。

 アンメアリーのほうも彼に合わせて黙ったままだった。彼女にとって、人前で〝ヴァルトクス大公〟にきつい判断を容赦なく告げられたのは、ショックだっただろう。

 妹は自分の我儘で逆らえない相手だとは身に染みたはずだ。

 彼女に続いて、ヴァンレックが両親に『二度と関わるな』と告げてくれた。

「目的は果たしたし、帰りましょうか」

 人々が移動を始めて動きだしたところで、アイリスは立ち上がりながらヴァンレックとアリムに提案した。

「空気も悪くしてしまったし、私たちが堂々楽しむのも――」
「だからこそ堂々楽しむんだ」
「『さっきのことなんて気にしてないよ~』て顔で、勝手に楽しんじゃえばいいんだよ」

 ヴァンレックに続いて、アリムが顔を覗き込んでそう言ってきた。
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