可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(な、なんて勇敢な子なのかしら)

 平然と挙式を見届けたヴァンレックとそっくりだ。

 きっと、かなりのパパ似なのだろう。

「アイリスが何考えているのか分かる気がするな~。そういうところも大好き!」
「確かに、可愛い」

 んんっと小さく咳払いを挟んで、ヴァンレックも言ってきた。

 その言葉に驚いた拍子に、アリムがアイリスの腕にぴょんっと抱き着いてきた。それを目撃した通路を歩いていく貴族たちが「可愛いっ」と、男女問わず心を掴まれている。

「せっかくだし、美味しいものを食べようよ!」
「でもね、空気がぎすぎすしているのはちょっと――」
「いいから、いいから。行こう、俺の奥さん」

 珍しくヴァンレックは調子のいい言い方だ。彼もアリムと同じようににこにこして、二人は揃ってアイリスの背を押した。

(……なんだか楽しそうじゃない?)

 アイリスは不信感を抱いた。

 そして移動した披露宴の会場は、かなり大きかった。ライノーアル伯爵がそんなに資産家だとは聞いていないので、予想外で驚く。
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