可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 またしても両親は見栄を張ったのだろうか。

 大きい会場でないと嫌だとアンメアリーも希望を押した……?

「祝い金をあてにしているのかもしれないな」
「そんなまさか、さすがにそれはないと思いますよ」

 エティックローズ侯爵家は経営が下手だ。資産管理も専門家に任せている部分が多いが、確実に払えるか分からないことに手を出さないだろう。

 それに、とアイリスが続けようとした時、想定済みだと言わんばかりにヴァンレックが先に告げてきた。

「この規模だと、本来は一括前払いが基本だと考えたな?」
「はい、そうです。それも言おうとしていました」
「それなんだが、エティックローズ侯爵家は伯爵親族に、自分たちが大きく払うと言い、君がヴァルトクス大公妃であると名前を出して後払いで会場を押さえている」
「……は?」

 まさか、勝手に人の名前を出していたなんて。

 しかし怒りよりも、アイリスは断言した彼に呆気に取られてしまった。

「かもな、なんておっしゃっていましたが……もしかして事前に調査済みなんですか?」
「ああ」

 披露宴の入口近くの円卓に腰かけているヴァンレックは、考えるふうにテーブルを指で叩きながら答えた。
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