可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 アリムと予定よりも早く顔を合わせたうえ、おやつと、そして今は彼のために手を加えらた庭園にまで連れてきてもらってしまっている。

「アイリスも乗せてあげる! パパは大きいから無理だけど、アイリスなら並んで座れるよ」

 乗ってしまっていいのか悩んだのは、ほんの束の間だった。

 アリムの笑顔が可愛くって、それを曇らせたくないと思った時には、アイリスは即座に誘うに応じていた。

 ブランコに隣り合って腰を降ろした。二人で乗っても余裕がある。

「こいでこいでーっ」

 ブランコの高さはまだ彼の足が届かない。

 普段から『パパ』に動かしてもらっていたそうだ。アイリスは足で地面を押して、危険がない速度でブランコを揺らした。

「二人で乗ると楽しいね!」
「ふふ、それはよかったわ。私も楽しいわ」

 大公様の屋敷にいることを忘れた。声を出して笑い合いながら、アリムとブランコに夢中になる。

 そばで見守るブロンズが心配そうに「お気をつけて」とたびたび言った。

 どれくらい経った頃か、不意にアリムがとある方向を見る。

「パパ、おかえりなさい!」

 ――え。

 アイリスはひゅっと息を呑んで固まってしまった。
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