可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 アンメアリーが手に持っていたものをアイリスに投げつけた。

 すると、ヴァンレックとアリムが動いた。アリムは隣の椅子からアイリスをかばうように抱き締め、ヴァンレックが立ち上がりテーブルクロスを剥ぎ取って、自分たち三人家族を守るように盾にする。

 円卓にあった食器が落下して破壊音を上げた。

 さらに悲鳴が増す。

「さすがヴァルトクス大公っ」
「よ、よかった、アイリス・エティックローズ嬢に、いや大公妃にあたっていたら大変だったぞっ」
「警備を呼べ! 大公妃を守ってくれっ」

 必死な様子で叫ぶ男性の声も聞こえてくる。

(『悪女』なのに、守れ?)

 アイリスは、頭に疑問符がたくさん浮かんでいた。

 アンメアリーが投げたものはテーブルクロスに跳ね返ったようだ。

「ちょっ、こっちにこないでっ」

 慌てるアンメアリーの声が聞こえた。テーブルクロスがアイリスの前から外れた時、彼女は横に飛んで、床に崩れ落ちたところだった。

 その脇を、先程のひび割れが入った岩石のような玉が行く。
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