可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「私もそれが心配で……あ、そういえばお礼もまだでしたね。先程はありがとうございます。アイリスと申します」
「いえいえっ、私はロレック・バーリントンです。爵位は伯爵になります」

 男が慌ててハット帽を一度上げて挨拶する。

「心配してくれてありがとうございます。獣耳と尻尾がはえたあの子を、どう受け止めてくれるのかも気がかりだったんです」

 獣の特徴を持って生まれるのは【獣化】の目印みたいなものだ。

「まぁ、初めは私とお同じようにみんな恐れたと思います」
「恐れる?」
「戦闘に特化した獣化の姿を、我々はよく見ています。年齢問わず国のため、人々のため戦う役目を担って代々『ヴァルトクス大公』の名を受け継ぐのです。ですが、見てください。彼はまだまだ子供なんです。あんな小さな姿で、国の守護神の役目を果たそうと、閣下の頭にいるんですよっ」

 バーリントン伯爵が指さす。

「信じられますか? 見ていてハラハラします!」
「わたくしもですわ!」
「ひぇ」

 急に、太ったレディがアイリスの脇から頭を飛び出させてきた。
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