可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(二人みたいな視力がないのも、残念だわ)

 こちらからはうまく見えないが、先程と変わらず、アリムも余裕たっぷりに笑っている気がする。

 その時、アイリスは不意に空気が重くなったのを感じた。

 空間が緊迫感で満ちるような感覚。まだ存命の十一頭の魔獣たちが黒狼に警戒を示し、距離を開ける。

 金色の毛並みを揺らし、狼が低い唸り声を上げた。何やら不穏なオーラが出ている。

 すると、その頭にいたアリムが、不意に立ち上がった。

「――〝鎮まれ、若き我が子孫よ〟」

 微笑んだ彼の唇から発された〝声〟は、不思議と会場に響き渡った。

「時は満ちた。魔獣よ、その遺骸さえもそこにいることは許さぬ」

 アリムの身体が銀色の光を発し、ふわりと浮く。

 それは強烈な光へと変わった。姿さえも覆い隠す銀色の光が形を変え、次の瞬間に左右に白銀の翼が開かれる。

「お、おぉ……」

 人々の声がもれる。手を組んで祈る者も出始めた。

(あれ? 翼がすごく大きくなってる?)

 アイリスは、状況がよく分からなかった。
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