可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 銀色の光を弾くようにして狼の頭上高くに現れたのは、大型犬ほどにまで成長した、銀色の狼だ。

 魔獣があきらかに怯えている。

 銀色の狼が翼を左右に大きく広げ、吠えた。

 すると黄金色の光が放たれ、それが閃光を上げながら魔獣たちに襲い掛かる。

 ――ぎゃああああぁっ。

 魔獣の身体が先端から崩れていく。

 黄金色の光によって消えていき、床に残った魔獣の残骸や血さえも消滅する。

「……わ、我が国の神獣様だ!」

 一人の興奮したような男の声に、人々の大喝采が続く。

「神獣様が誕生された!」
「奇跡の魔法だ! それをこの目にできたなんてっ」
「え?」

 アイリスは、ぽかんとした声を上げてしまった。

「心清らかな者のもとでしか育たない神獣様を、大公様が連れ帰られたっ」
「神獣に認められし大公様、万歳!」
「神獣様万歳!」

 いったい、何が起こっているのだろう。

 アイリスはまばたきもせず固まっていた。状況が、うまく飲み込めない。

(アリムはヴァンレック様の息子のはずで……)
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