可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 誰もが狼姿のアリムを見て『神獣様』と呼んでいる。

 目の前には破壊された無残な会場。転がった円卓さえ小物に見えるほど、大きな狼。そんな狼の鼻先まで飛んで、銀色の狼が嬉しそうに何やら話している。

 ひとまず騒ぎは一件落着のようだ。

 しかし、もとをただせば、発端はあの父子の企んだ仕返し……?

「何がどうなって……?」

 一気に緊張感も抜けてしまい、アイリスは意識が遠のいた。

「大公妃様!?」

 バーリントン伯爵が慌てて侍従たちと受け止めた時には、アイリスは妹と同じく完全に気を失っていた。

 ◇∞◇∞◇

 アイリスが目覚めた時、そこは王都にあるヴァンレックの屋敷だった。

 彼はアイリスのそばにフロンズを置いてくれていた。

「旦那様は、アリム様を連れて王城へ向かわれました。終わり次第に戻られるそうです」

 国王への報告だろう。

 披露宴の会場で魔獣が突入してきて、ヴァンレックが狼の姿に変身して対応して――。

「……ねぇ、アリムが神獣って、どういうこと?」
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