可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 気絶する直前のことを思い出し、困惑した顔でアイリスはブロンズに尋ねた。

 ブロンズが悩ましい表情で黙り込む。

「……わたくしの口からはなんとも。旦那様のお帰りをお待ちください」

 彼は頭を下げ、出て行った。

(もしかして私がお飾りの妻だから、言えないのかなぁ)

 今日まで信頼関係を築けていたと思っていたので、少し寂しい気持ちがした。

 見下ろすと、ドレスは休むのに適した動きやすいものに着替えられていた。戻るまで休んでいていいという意味合いだろう。出歩くのなら、もう一枚きちんと着込む必要がある。

「アリムが、神獣……ヴァンレック様の子ではなかったの……?」

 では結婚は、王家の神獣を育てるためのものだったのだろうか。

(あ、だから『子育てしてくれ』と言ったのかしら)

 考えが回らない。

 いろんなことが起こったのもそうだし、彼女は整理のつかない感情でいっぱいいっぱいだった。

 真っ先に浮かんだのは、唐突なこの契約の終わりのことだ。

「嫌、だな」

 アイリスはシーツを握った。
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