可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 なぜ、王城の騎士がそんな任務を与えられるのだろう。

 そんなことより、都合がいい。アイリスはツキリと傷んだ自分の胸を無視し、毅然と顔を上げ、メイドに伝えた。

「急ぎ用を頼みたいことがあるの。警備に派遣されているという一人を、こちらに呼んでくれないかしら?」
「かしこまりました」

 メイドは不思議がりながら指示に従う。

(ブロンズは契約のことを知っているみたいだけれど、私が結婚をどうこうしようと考えていると知ったら、みんな全力で止めそうだし……)

 間もなく、見慣れない白い軍服を着た騎士がやってきた。

「父をお探しとか」
「えっ、あなたリッジソロミュー公爵の息子さんなのっ?」
「はい。ウィリアムと申します。陛下と王太子殿下の近衛騎士隊をみています」

 微笑みかけてきた彼は美しかった。確かに身体に厚みはあり、現役の軍人なのだなとは感じる。

(なんでそんなに偉い人がうちに)

 アイリスはまたしても思考が停止しかけたが、ハッとやるべきことを思い出す。
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