可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 子はいないにしても、ヴァンレックに好きな女性はいる可能は否定ではないし――。

「ふぅ、考えるのはよしましょ」

 自分に言い聞かせる。

 こうやって覚悟を作るためにも、アイリスはメイドを自分のそばから離したのだ。

 少しでも思考を巡らせようとすると、自分が残れる余地を探してしまう。

 契約の終了を突きつけられる覚悟はできていたはずだったが、待つのは、涙が出そうなほどつらかった。

 だから、ヴァンレックが国王と話しを進めている傍ら、アイリスも動くことにした。

「契約だったもの……約束は守らないと……」

 ティーカップを覗き込み、ぼうっとする。

 ヴァンレックとは今のいい関係でいたい。

 アリムにも、好きになってもらったままの自分でいたい。

「……一人って、こんなに静かなのね」

 普段はずっとアリムを見ていたし、ヴァンレックが一緒にいることも最近は多かった。

 いずれ一人になるわけだが――やっていけるのだろうか。

 一人で自分の幸せを探す、なんて豪語していた、婚姻を告げられて実家を出た日をアイリスは思い返す。
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