可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「ややこしくなると思うから、これからもアリムって呼んでね! パパならヴァンレックがいいし、ママならアイリスがいい!」

 抱っこして、と言わんばかりにアリムが笑顔で両手を伸ばす。

 アイリスは思わず抱っこしてしまった。

「アイリス、君はかなり混乱しているようだが、それでも抱き上げてはくれるんだな……」
「可愛いんだものそれはそうでしょ……というかっ、なんではじめっから言わなかったの!」

 アイリスは思わず心の声をそのまま口に出した。

「私がどれだけ悩んだと思ってるの!?」
「まさか、――アリムのこと気付いていたのか?」
「違うわよ! 私たちの契約のことよっ」
「あ」

 何、その反応は?

 アイリスは、まるで『今の今まで忘れていました』みたいなヴァンレックの反応に、何かがぷつんと切れるのを感じた。

「アリムが神獣だと打ち明けても大丈夫になるまでが契約期間だったんでしょう! 私、あなたのせいで離れられなくなっちゃったの!」

 雷が落ちるようなアイリスの声に、リッジソロミュー公爵が「退散たいさん~」と呟きながら離れていく。

 周りの男たちも、耳を塞いで部屋の隅まで撤退する。
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