可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 形のいい鼻筋にかかる金髪に、金色の目。端正な顔立ちだけでなく、鍛えられたことによって均等の取れた肉体美も持っていおり、肩にかけた丈の長い軍服のコートもよく似合う。

(金髪金目は王家の象徴、だったわよね)

 そういえば血を引いているのに、アリムの目はエメラルド色だと、親子を目に収めてアイリスは気付く。

 その時、不意に彼の金色の目がアイリスをとらえた。

(ひぇっ。こ、これって、睨まれているのかしら)

 ガン見されて身を固くする。

「あなたが、アイリス・エティックローズ嬢か?」
「は、はいっ」
「いや、今は『嬢』と呼ぶべきではなかったか」

 アリムを降ろし、ヴァンレックが考えるような声で言葉を続けた。戸惑っているのか機嫌を損ねたのか、かすかに寄った眉の動きだけでは判断がつかない。

 どうしよう。緊張しすぎて吐きそうだ。

「こちらまでの長旅ご苦労だった。ヴァンレック・フォン・ヴァルトクスだ」
「えっ」

 向かってきた彼が、唐突に手を差し出してきた。
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