可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(今もとても強いと思うけど、そうではないのね)

 アリムには引き続き〝狼〟の加護がいる状態だという。

 一日でかなりのことをしてきたから、エティックローズ侯爵家のことや妹のことなど、語られている間には夕飯を終えていた。

(彼、本当に隠し事ができない誠実な人ね)

 お飾りの妻にするつもりがないので共有したい気持ちは分かる。

 それなのに披露宴ではあんなにうまく笑顔で隠し、部下を使って動いたのだから、彼の二面性には尊敬さえ抱く。

「シーマスたちと計画を進めたんだが……隠していたこと、怒ってるか?」
「いいえ、怒っていません」
「でも質問もないなんて」

 すっかり夜になっていた。リビングでヴァンレックが焦ったようにそう言った。

 替えの紅茶を前に置いたブロンズは、何か言いたげな目をしたが、主人に口を出さないことを決めたように下がる。

「質問がないのは、ヴァンレック様がすべて語ってくださったからです」
「それとも嫌になったとかっ?」
「僕のこと、もう可愛くないの!?」
「不安にさせちゃってごめんね、アリムはとっても可愛いわよ」

 アイリスは、膝の上に乗せたアリムの頭を撫でた。
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