可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 十一月一日は、王都にとって冬入りを祝う日だ。

 これから三日間かけて王都ではお祭りが行われるのだが、そんな冬の特別な一日目、王城は例年の数倍とも感じるほどの祝いの装飾に彩られた。

 本日、国王による冬入り前言の式典、続いてヴァルトクス大公の結婚式が執り行われることになったのだ。

(私を絶対に逃がしたくないという陛下たちの意思を感じるわ……)

 準備は一般的に見ても、かなり短い。

 結婚式を挙げてくれるヴァンレックには嬉しさを覚えた。ウエディングドレスの準備も、アイリスにとっては初めての経験だ。

 しかし、王城での打ち合わせで走り回っている人々、行ったり来たりする神職機関の人たちの忙しさを見て、少しだけ後ろめたさを覚えた。

 時々お茶に誘ってくれた王妃は、気にしないで男どもに任せなさいと言った。

 式典で見た国王は、心なしか美しい笑みが少しお疲れ気味だった。

 とはいえ、誰もが大袈裟なくらいにアイリスを祝福した。

 悪女であると家族におとしめられ、結婚するまで寂しい日々を過ごした令嬢。それが、ヴァルトクス大公との結婚で幸せな愛され妻となった。

 その逆転劇は民衆を熱くしているとのことで、挙式の時間には式典以上の人々が王城の周囲に押し寄せた。

 そのため、王の間での盛大で厳格で素晴らしい結婚式をしたのち、国王の演説用のバルコニーにアイリスはヴァンレックとアリムと出ることになった。
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