可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
さすがにお飾りなのに彼の名前を呼ぶなんて、恐れ多すぎる。
彼が言い躊躇うような表情を見せ、それから書面作りに戻って言う。
「作業内容については確認してみる。屋敷の者には俺たちの契約のことは知らせないから、確かに簡単な業務はしていたほうがいいたろう。あとでブロンズに指示しておくから、彼から習うといい」
「かしこまりました」
間もなく契約書が仕上がった。
ヴァンレックは律儀にも二枚用意し、一枚をアイリスに渡したうえで、一字一句同じであることまで確認した。
「これが陛下から婚姻証明書と共に送られてきた結婚指輪だ」
ヴァンレックが見せてきたジュエリーボックスには、銀色の指輪が二つ並んでいた。細く、埋め込まれた小さな白いダイヤが一つだけのシンプルなものだ。
二人でそれぞれ着けた。
結婚した実感はない。あまりにも急な結婚。それなのに間に合った結婚指輪を見れば、どれだけこの婚姻が形ばかりに押しつけられたのか分かる。
屋敷の者たちに契約結婚のことは知らされない。
(大公様が受け入れた妻だと結婚指輪で伝われば、屋敷内での居心地も少しはよくなるはずだものね。気になるのは『悪女』の噂がどう影響してくるのかだけど……)
彼が言い躊躇うような表情を見せ、それから書面作りに戻って言う。
「作業内容については確認してみる。屋敷の者には俺たちの契約のことは知らせないから、確かに簡単な業務はしていたほうがいいたろう。あとでブロンズに指示しておくから、彼から習うといい」
「かしこまりました」
間もなく契約書が仕上がった。
ヴァンレックは律儀にも二枚用意し、一枚をアイリスに渡したうえで、一字一句同じであることまで確認した。
「これが陛下から婚姻証明書と共に送られてきた結婚指輪だ」
ヴァンレックが見せてきたジュエリーボックスには、銀色の指輪が二つ並んでいた。細く、埋め込まれた小さな白いダイヤが一つだけのシンプルなものだ。
二人でそれぞれ着けた。
結婚した実感はない。あまりにも急な結婚。それなのに間に合った結婚指輪を見れば、どれだけこの婚姻が形ばかりに押しつけられたのか分かる。
屋敷の者たちに契約結婚のことは知らされない。
(大公様が受け入れた妻だと結婚指輪で伝われば、屋敷内での居心地も少しはよくなるはずだものね。気になるのは『悪女』の噂がどう影響してくるのかだけど……)