可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
不思議な感覚だ。この身体の令嬢が身に着けたことは、自分のものになっているらしい。
(私はあなたたちなんて怖くないわ。そして、このアイリスという令嬢を、不幸にする気だってない。私が解決する)
三人が「は」という感じで固まった。
それは愉快な姿で、アイリスはようやく口角が上がる。
「それでは、さようなら」
アイリスは三人に背を向けた。
結婚相手がよりによって『記憶の中のヴァルトクス大公』ということは気になるが、こんな家にいるよりマシなのは確実だろう。
◇∞◇∞◇
広大な領地を持つヴァルトクス大公の邸宅で、一人の呻きが上がった。
「俺が結婚? この状態で……!?」
二階にある書斎で、一人の高身長な美丈夫が書斎机から立ち上がる。淡い金髪がさらりと揺れた。室内にいた補佐官を見つめ返した目もまた、美しい金色だ。彼の肩からかけられている大きな漆黒のマントが背に流れていく。
それはヴァンレック・フォン・ヴァルトクスその人だ。
兄である国王から結婚が決まったという知らせを受けたところだった。
「……俺の補佐官、これをどう思う?」
(私はあなたたちなんて怖くないわ。そして、このアイリスという令嬢を、不幸にする気だってない。私が解決する)
三人が「は」という感じで固まった。
それは愉快な姿で、アイリスはようやく口角が上がる。
「それでは、さようなら」
アイリスは三人に背を向けた。
結婚相手がよりによって『記憶の中のヴァルトクス大公』ということは気になるが、こんな家にいるよりマシなのは確実だろう。
◇∞◇∞◇
広大な領地を持つヴァルトクス大公の邸宅で、一人の呻きが上がった。
「俺が結婚? この状態で……!?」
二階にある書斎で、一人の高身長な美丈夫が書斎机から立ち上がる。淡い金髪がさらりと揺れた。室内にいた補佐官を見つめ返した目もまた、美しい金色だ。彼の肩からかけられている大きな漆黒のマントが背に流れていく。
それはヴァンレック・フォン・ヴァルトクスその人だ。
兄である国王から結婚が決まったという知らせを受けたところだった。
「……俺の補佐官、これをどう思う?」