可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 ここでヴァンレックは休む習慣があったのだろうか。怖い人だけれど観賞席も仮眠ができるソファも実のところ彼の趣味で、休日を密かにゆったりと過ごしていたのだろうか。

 それがきっかけで田舎の地、銀実の美しい女性と出会ったのか?

(子供を引き取ってから、そんな暇はなくなってしまったのかしら……私が、少しは役に立てるといいのだけれど)

 アイリスは自分の雇い主のような感覚だったヴァンレックに、それ以外の言葉にならない感情が胸に芽生えるのを感じた。

 ◇∞◇∞◇

 その日から温室に行くのは日課になった。

 連日ヴァンレックが騎士団を編成して討伐に出掛けるので心配したが、アリムは毎日元気だった。遊び相手ができたことがよほど嬉しいようだ。

「今日は見張り台に連れて行ってあげるっ」

 よくアイリスのもとに突入してくるようになった。

 朝食後にブロンズと本日の日程を話し合い、少し待つとメイドたちの慌てる声が聞こえてくる。そうすると、『あの子が来た』と分かって、二人の話しは終了になる。
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