可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「奥様はすごいですね、坊ちゃまが完食してくださるなんてっ」

 メイドたちと、それからコックも感動していた。

 同時にヴァンレック以外にも見せるようになった可愛い食事風景に、めろめろになったらしい。

(少しずつ味方ができているわね)

 よしよし、とアイリスは内心ガッツポーズをした。

 できるだけ周りを巻き込む形でアリムには過ごしてもらっている。

 そのためか、彼は出会った時と違って心地よさそうに笑顔で屋敷内を闊歩した。

 部屋に閉じ込もっていない姿もレアなようだ。警備にあたっている騎士たちも、珍しそうに窓から覗き込んでいた。

 全体的に空気が徐々によくなっているのを感じていた。そのせいか、アイリスは一つ気になることもできている。

「おやつはピニクックふうにするんでしょう? 早く早くっ」
「そう慌てると危ないわよ」

 午後四時、肌寒さを覚えて薄地の長袖を着るという万全の対策で外へと出た。

 アリムとアイリスのメイド、それからでき上ったおやつを抱えた若いコック三人と、敷地内とはいえ安全のために騎士を二人。

 そこには予定外にもタオルケットを持ったブロンズの姿もある。
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