可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「おやつが食べたかったのね」
「べ、別にお腹が空いていたわけじゃないよっ。アイリスが全部味見しようと言ったから」
「ふふ、そうね。私がアリムを誘ったの」
「アイリス、お魚を見ながら一緒に食べよう。日差しらにきらきら光って、綺麗だよ」

 アリムが手を引いたので、アイリスは笑顔でうなずく。

「ええ、今度は一緒に池を覗きましょうか」
「僕、お魚の名前分かるんだ! たくさん聞いたら、アイリスに教えてあげる」
「あら、優しい子ねぇ」

 にこにこしながら歩いた。

 すると、後ろからやたら大きな咳払いが聞こえた。

「俺のことを忘れているようだが」
「あ」
「それとも、またベリーバイのことでも考えていたのか?」

 意地悪だ。

 肩越しに振り返ったアイリスは、頬を赤らめる。

「違います。アリムとの時間が楽しみだったからです」

 ヴァンレックが何やら妙な表情をした。

「あとで話そう」

 彼はそう告げ、マントをはためかせて背を向ける。

(他に何かあるのかしら。まぁ子供がいると確かにゆっくり話せないものね)
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