可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 きっと積極的に話しにきたがるだろうと見越していた。

 ――エティックローズ侯爵家の悪女。

 もともと評判がよくない一族であるのに、そのうえそこの長女は最悪だと社交では噂されていた。

 顔も派手であるのに毒花のように目立つドレスを身にまとい、実家の経営がうまくいっていないのに宝石などで浪費する。

 遊ぶ価値のない男は目にも入れず、気に入った男とだけ話す。

 社交もせず男と楽しく話すためだけに会場をよく離れるから、あまり見かけないのだという話もあった。

(予想と違いすぎて、俺は物足りなさを感じているのか?)

 アイリスは必要がなければ姿さえ見せなかった。

 昨日、帰宅した際に無駄のない口頭報告をされてアリムを引き渡されて以来、彼女を見ることはなかった。

 今日は一度目の顔合わせだというのに、アイリスにはその感覚すらない様子だ。

 アリムがブロンズたちに集中しているから、雑談くらいは挟んでくるのかと思ったら、部下のごとくとっとと報告を終わらせた。
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