可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 アリムが寂しい思いをしないよう、自分のことよりも彼のことを優先しているとは、ブロンズやシーマスたちから定期的に受けている報告で知っていた。

 普通ならば自分のことをしている時に呼び出されると嫌な顔をするものだが、食事中でも手を止め、快くアリムを迎え入れる。おかげでアリムはアイリスに対して遠慮がなくなったようだ。

 でも――。

(彼女を見ていると、妙な気持ちになる)

 どんな女性も少なからず期待の眼差しで密かに見つめてきたのに、自分に対してまったく興味を抱かない女。

 疑ってかかっていたせいか、罪悪感もあるだろう。

 アイリスにはすまないと思っている。

 状況は切羽詰まっていたし、理想的な乳母だったので子育てを依頼してしまったが、アリムに対して誠実であるのは分かっている。子育てへの堅実さにはヴァンレックも応えるつもりだ。

 ことが終われば、彼女が困らないようできる限りの配慮と支援をして離縁するつもりだった。

 彼女も興味がなさそうなので気を張らず食事もしてほしい。
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