可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 ――緊張、はない夕食だった。

 理由はヴァンレックの〝子育て〟が、なんともぎこちなかったからだ。

(というか、下手)

 衝撃的な事実だった。

 おかげで緊張なんてする暇もなかったのだが、アイリスはこれまで帰ってきた際にアリムと交流するヴァンレックを眺めていた時の違和感の正体に、気付いてしまった。自分の子なのに、ヴァンレックはどうも子供の接し方に不慣れすぎる。

 アリムがウィンナーを刺したフォークを向けて『あげる!』と言うと、戸惑う。

 そのお返しがほしくて彼がアピールすると、どうしようと悩む間が置かれる――などなど見ていられない瞬間がたくさんあった。

(見ていられなくて、つい助言ばかりしてしまったのよね……!)

 そもそも六歳の子供なのに、テーブルで向かいあって座って、どうする。そうアイリスはまず思った。

 テーブルがそれなりに小さくて、伸ばした腕が届く範囲なら、まだ分かる。

 しかし、彼の食卓は十、数人は座れそうな立派なものだった。その中央にアイリスはアリムと並んで、ヴァンレックはその向かいに腰かけたのだ。
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